Aquitaine / アキテーヌ

Aquitaine / アキテーヌ

言わずと知れたvinワインの一大産地です。古くはAquitaineアキテーヌ公領として現在のMidi-Pyrénéesミディ・ピレネー地域圏の一部から北はPoitouポワトー、中央のAuvergneオーベルニュまでその支配をのばし、英仏100年戦争時にはイギリス領ともなった地域です。『地方菓子』に関しても、その影響を広い地域に及ぼしています。Aquitaineはとてもフランスで三番目に広い地域圏であり、文化的・地勢的に異なった地域を内包し、その地域が広く多くの都市を含むため、 歴史的・地勢的に似通った地域に絞って紹介したいと思います。ここではGironde・Lot-et-Garonne・Landes・一部のPyrénées-Atlantiquesの四県に限定して紹介します。そしてDordogneについては伝統的な地域名に従ってPérigordペリゴールとして、またPyrénées-Atlantiquesのスペイン国境付近はPays Basqueバスクとして別個に紹介したいと思います。


  • Aquitaine / アキテーヌCannelé / カヌレ

 この菓子はカヌレ型という特別な厚めの金属の型を使い、そこに基本的には蜜蝋を塗って生地を流して焼き上げるものです。 この地域で最も有名なのはvinワインと「Canelé」だと思いますが、この二つは密接に関係しているのです。そもそもどうして「Cannelé」のような菓子が出来上がったかというと、vinを製造するにあたり、その澱を取り除かねばならず、そのために卵白を使用していたことに由来します。卵白だけ使うので大量の卵黄が余ってしまうので、これを使った何か、ということで「Cannelé」が作られた、と言われています。このような地域の特徴と密接に関係しているところは、まさに『地方菓子』と言えるでしょう。




  • P1020585Le Bouchon du Vigneron

 「Bouchonブション」とはコルクのことでこれを象った形の菓子です。ちなみに「Vigneron」とはブドウの栽培者のことを言います。これはPâte à cigarete(アイスのコーンのようなもの)を焼いてその中にPralinéプラリネとamande haché(細かく砕いたアーモンド)をつめたものです。 このようにご当地の名産にちなんだ形をした菓子というもの非常に多く見られます。




  • P1030128Pastis des Pyrénées / パスティス・デ・ピレネー

 基本的にはquatre quarts(パウンドケーキ)のようなものにPastis(アニス酒)を入れたものです。焼き型は下の「Pastis Landais」と同じでBriocheブリオッシュにも使うcannelé(溝付き)型に入れて焼き上げます。表情はお店によって様々です。






  • P1030153Pastis Landais / パスティス・ランデ

 これはBriocheにPastis(アニス酒)、もしくはfleur d’orange(オレンジの香料)を加えたものです。うえの「Pastis des Pyrénées」と同じようにcannelé(溝付き)に入れて焼き上げます。上には基本的にはsucre grain(粒状の砂糖)をふります。






  • P1030161Tourtière / トゥルティエール

 これは春巻きのような生地を重ねて、そのなかにPruneau(プルーン)やPomme(リンゴ)を入れて焼いたもので、最後にこれまたこの地方の名産であるarmagnac(アルマニャック)を振りかけます。Pâte à filoのようなもっと薄い生地で作ったものは「Croustade」という名前で全国でみられます。また、この「Croustade」にしても、この地域圏の近く、Midi-Pyrénéesミディ・ピレネー地域圏やここでは分けたこの地域圏のPérigordペリゴールなどは「Pastis」の名で売られる事が多いです。このれら地域で多くみられるgarniture(詰め物)はPruneau干しプラムで、これは近くにその一大生産地であるAgenアジャンがあるためです。