Centre / サントル

Centre / サントル

「フランスの庭園」とも言われるフランス有数の景観地として知られており、多くの優美な古城が残っていることから「Val de Loire entre Sully sur Loire et Chalonnesシュリー・スュル・ロワールとシャロンヌ間のロワール渓谷」として世界遺産にも登録されている地域を含む地域圏です(ちなみにその1/4はPays de la Loireペイ・ド・ラ・ロワール地域圏にあり、かつてのduché d’Anjouアンジュー公領です。このことから、現在でも複雑な問題が出て来ています→参照Pays de la Loire)。その言われのように多くの城が築かれ、それはまたこの地がduché d’Orléansオルレアン公領、duché de Touraineトゥーレーヌ公領、duché de Berryベリー公領というフランス王家の王族(特にduché d’Orléansにおいては王太子が名乗るComté de Dauphinéドーフィネ伯に次ぐ高位の爵位でした)に与えられた王領でも重要な地域であったことに由来しています(これらは州編成後もその名と域地を保ちました)。平坦な地形、温暖な気候、la Loireロワール川水系の美しさは時の支配層を魅了し、そのような宮廷文化の栄華からこの地域では典雅なフランス語が発展し、現在でもこの地域のフランス語が最も美しいと言われています。このような宮廷文化の名残からか、『地方菓子』についても、この地域圏では優美なconfiserie砂糖菓子に関するものが非常に多かったです。残念ながら私自身があまり城に興味がなかったためにアクセスが楽な場所以外はほとんど訪れていなく、また場内見学もほとんどしませんでした。


  • Le Véritable Nougat de ToursLe Véritable Nougat de Tours / ル・ヴェリターブル・ヌガ・ド・トゥール

 基本的にはToursトゥールのspécialitéですが、その近辺の町ではちらほらと見られます。その場合はvéritable「正真正銘の」が抜けます。この菓子はpâte sucréeサブレ生地をfonçage敷いたところにfruits confits砂糖漬けフルーツをのせ、その上にdacquoiseダクワーズ生地をのせ、上にsucre glace粉糖をふって焼き上げます。




  • Week-end en SologneWeek-end en Sologne / ウィークエンド・アン・ソローニュ

 上の「Nougat de Tours」に似た菓子です。SologneとはLoire et Cherロワール・エ・シェール県にある森林地区のことで、この県のspécialitéとしてこの近辺に属する町にはよく見られます。これはpâte à sablé noisetteハシバミ入りサブレ生地を底に敷き、そこにmarmalade fraiseイチゴのジャムを厚くぬって、その上からdacquoiseダクワーズのようなmacaronマカロン生地をのせて焼き上げます。




  • Caprice BerrichonCaprice Berrichon / カプリス・ベリッション

 こちらも上の「Nougat de Tours」と似通った菓子です。berrichonとはこの菓子がよく見られるIndreアンドル県とCherシェール県が、かつてBerryベリーと呼ばれる公爵領、州であったことに由来しています。この菓子はpâte sucréeをfonçage敷いた中にconfiture de framboise木イチゴのジャムを塗り、その上にnoixクルミの入ったdacquoiseダクワーズ生地を流して上にsucre glace粉糖をふってから焼き上げたものです。




  • DiversDivers / いろいろ

 構成は同じですが色々な名前が存在しているので詳しくは各町で挙げたいと思います。このような菓子はBourgogneブルゴーニュ地域圏のNeversヌヴェール(当地域圏西端であり同じla Loireロワール川流域に位置)やLorraineロレーヌ地域圏の一部でも見られますが、名前が一致するものは一つとしてありません。まずこの菓子の構成はganacheガナッシュもしくはpralinéプラリネを含んだganacheをmeringueメレンゲでenrober包んだものです。また、この地域圏独特の特徴としては形が三角形で色が白いところです。他の地域では長方形のganacheをmeringueで丸くenroberし、何らかの色がついています。詳しくは各ページを参照して下さい。




  • Pavés du Roi.Les Carrés RonsardPavés du Roi / パヴェ・ドュ・ロワ

  • Les Carrés Ronsard / レ・カレ・ロンサール

 この菓子もこのように違う名前で売られる事が多いです。ちなみに上はBloisブロワでの呼び名で、王家の城の存在に由来します。下はVendômeヴァンドームでの呼び名で、当地出身の詩人Pierre de Ronsardピエール・ド・ロンサールに由来します。この菓子は二枚のNougatineヌガティーヌでchocolatとpralinéプラリネを合わせたものをサンドし、それらを飴掛けしたものです。




  • Les Malices du LoupLes Malices du Loup / レ・マリス・ドュ・ルー

 この菓子はどの町でもこの名前で売られていました。その名前の由来はよくわかりませんが、直訳すると「子供のいたずら」といったところでしょうか。この菓子はconfit d’écorce d’orangeオレンジの皮の砂糖煮を混ぜ込んだpâte d’amandeアーモンド・ペーストで、noisetteハシバミとanis茴香、confit d’écorce d’orangeを合わせたものをappareil caramelアパレイユ・キャメル(caramelをcrème生クリーム、lait牛乳などと合わせたもの)でからめたものをサンドします。特徴的なのは表面の凹凸がつけられた焼ごてのようなもので押されつけられた跡がある事です。