Franche-Comté / フランシュ・コンテ

Franche-Comté / フランシュ・コンテ

南部にMassif du Juraジュラ山脈、北部にMassif des Vosgesヴォージュ山脈に挟まれた地域圏で、非常に牧歌的な雰囲気です。これは『地方菓子』についても言え、非常に素朴な菓子が多かったです。現在では精密機械の製造で栄えている地域ですが、以前はメガネやパイプといったユニークな名産もありました。これも水がきれいなことなどに由来していると考えられるかもしれません。中世初期からはブルグンド王国の一部として、中期からは神聖ローマ帝国ブルゴーニュ伯領にあたります。ここで注意が必要なのは中世後半で一大勢力となったブルゴーニュ公国とは違うということです。フランス語でいうと伯領comtéと公領duchéです。どちらもBourgogneですが地位が違いますし、宗主(神聖ローマ皇帝とフランス王)も違います。ちなみブルグンド王国もフランス語ではRoyaume de Bourgogneです。ブルゴーニュ伯領は名前はそのままブルゴーニュ公国の一部となったり、フランス王家の一部となったりもしましたが、神聖ローマ帝国・スペイン王国ハプスブルク家の領土から最終的に17世紀後半からはフランスの領土であり続けています。一方、この地域圏にはもう一つの伯領が存在しており、それが神聖ローマ帝国モンベリアル伯領です。現在のMontbéliardモンベリアルの周辺のかなり限られた地域ですが、この地がフランスに併合されたのは18世紀末です。ですので、この地域はAlsace同様にドイツ文化の影響を色濃く残しています。


  • Galette ComtoiseGalette Comtoise / ガレット・コントワーズ

 この地域圏にはあまり目立った『地方菓子』がなかったです。これは固めで糖分の多いpâte à chouパータ・シュー(シュー生地)を丸く伸し、上にdoré(卵黄を塗る)して模様をつけ焼いたものです。これはepiphanieエピファニー(公現祭)のときに食べられるこの地方独特のgalette des roisガレット・デ・ロワの一種です。Bourgogne地域圏には「Gougère」という『地方菓子』があり(詳しくはBourgogneの地方菓子)、Franche Comtéも元ブルゴーニュ公国であったことから、両者に共通してpâte à chouをシンプルに焼くという菓子が存在していることは非常に興味深いです。




  • Gâteau de MénageGâteau de Ménage / ガトー・ド・メナージュ

 こちらもちらほらと見かけた菓子です。これは糖分と油分(この場合beurreバター)を増やした、briocheブリオッシュのような生地を丸く伸ばし、上にsucre砂糖のみ、もしくはcrème fraîche(生クリームを若干乳酸発酵させて濃度と酸味をつけたもの)、sucre砂糖、œuf卵を混ぜたものを塗って焼き上げたものです。これは隣の地域圏であるRhôneローヌで見られる「Galette  de Pérougesガレット・ペルージュ」と似ています。(注・実際はこの表現は誤りであり、Perougesのものとは異なります。それよりも一般的には「Galette sucre ou Tarte sucre」の名前で売られているものに近いです。詳しくはPérougesにて説明します)