このページにはフランスの県とその名前を記した地図を載せました。フランスに関わる事をやっているのに、その県がどこにあるか知らない、ではあまり信憑性がある話しはできないと思います。さらに、現在の地理区分になる以前、フランス革命以前の王制期、そしてその後の州制地方行政区分図も載せておきます。これは、乱暴な例として外国人の江戸前寿司職人を自称する人が「江戸」がどこか知らないのでは話しにならないのです。古典・伝統菓子をやるにあたっては、上の例にあるような「江戸=東京」という知識が必要であるため、あくまで参考としてこのページの最後に載せておきます。さらに、フランスの自然地理区分図も合わせて載せておきます。この区分は地方菓子を語るにあたってとても重要です。地方菓子は地域の特産物に則ったものであることが多いためです。また、この区分は伯爵・子爵領などの小さな貴族領と合致していることも多いです。



12世紀頃のフランスの勢力図です。青系がフランス王家の所領で、赤・オレンジ系の領土はイギリス王家(プランタジネット家)のものです。アキテーヌ公領が23地域圏時代のもの(アキテーヌ地域圏)よりも大分大きいことがわかります。むしろ13地域圏の方に近くなっています。ちなみにトゥールーズ伯領が13地域圏と大分かぶります。

15世紀におけるフランスの勢力図です。青系がフランス王家の所領になりますが、英仏百年戦争が終了したため、上図のような赤色のイギリス王領がなくなってほぼ全域フランス王領となっているのがわかります(最北端のCalaisカレーのみがイギリス領)。ここでは真ん中右側にDuché de Bourgogneブルゴーニュ公とComté de Bourgogneブルゴーニュ伯があるのがわかりますが、前者が現在のブルゴーニュ、後者がフランシュ・コンテの各地域圏に相当します。Franche-Comtéフランシュ・コンテ地域圏でも書いていますが、中世初期はフランス王と神聖ローマ帝国をそれぞれ宗主となっていました。中期以降はヨーロッパ全域で血縁関係の拡大などと相まり、神聖ローマ帝国(スペイン王家)やオーストリア・ハプスブルグ家の所領となりましたが、基本的にはフランス王家の血筋を受け継ぐ中で独自の施政を保持してフランス王家と強いつながりを持っていました。ちなみにComté de Neversヌヴェール公はフランス王家の傍系であり、系譜を同じくするDuché de Bourgogneブルゴーニュ公と非常に近しい関係でしたので、現代の地域圏区分では同じくBourgogneブルゴーニュ地域圏となっています。



- イル・ド・フランス(王領)(987年イル・ド・フランス州、パリ)
- ベリー公領(1101年・ベリー州、ブールジュ)
- オルレアネ公領(1198年・オルレアネ州、オルレアン)
- ノルマンディ公領(1204年・ノルマンディ州、ルーアン)
- ラングドック(王領)、トゥールーズ伯領(1270年・ラングドック州、トゥールーズ)
- リヨネー(王領)(1313年・リヨネー州、リヨン)
- ドーファン・ドゥ・ヴィエノワ伯領(1343年・ドーフィネ州、グルノーブル)
- シャンパーニュ伯領(1361年・シャンパーニュ州、トロワ)
- オーニス(王領)(1371年・オーニ州、ラ・ロッシェル)
- サントンジュ(王領)(1371年・サントンジュ州、サント)
- ポワトー(王領)(1416年・ポワトー州、ポワティエ)
- アキテーヌ公領(1453年・ギュイエンヌ・ガスコーニュ州、ボルドー)
- ブルゴーニュ公領(1477年・ブルゴーニュ州、ディジョン)
- ブルゴーニュ公領・ピカルディ(1482年・ピカルディ州、アミアン)
- アンジュー公領(1482年・アンジュー州、アンジェ)
- プロヴァンス伯領(1482年・プロヴァンス州、エクス(エクス・アン・プロヴァンス))
- アングーモワ伯領(1515年・アングーモワ州、アングレーム)
- ブルボネ伯領(1527年・ブルボネ州、ムーラン)
- マルシュ伯領(1527年・マルシュ州、ゲレ)
- ブルターニュ公領(1532年・ブルターニュ州、レンヌ)
- メーヌ伯領(1584年・メーヌ州、ル・マン)
- トゥーレーヌ公領(1584年・トゥーレーヌ州、トゥール)
- リモージュ子領(1589年・リムーザン州、リモージュ)
- フォワ伯領(1607年・フォワ州、フォワ)
- オーベルニュ伯領(1610年・オーベルニュ州、クレルモン・フェラン)
- ベアルン子領(1620年・ベアルン州、ポー)
- 神聖ローマ帝国領ロートリンゲン公国(1648年・アルザス州、ストラスブール)
- アルトワ伯領、ブルゴーニュ公領、フランス領ネーデルラント(1659年・アルトワ州、アラス)
- ルシヨン伯領、バルセロナ伯領、アラゴン王国、カタルーニャ君主国(1659年・ルシヨン州、ペルピニャン)
- フランドル伯領、ブルゴーニュ公領、スペイン領ネーデルラント(1668年・フランドル州、リール)
- ブルゴーニュ伯領(1678年・フランシュ・コンテ州、ブザンソン)
- 神聖ローマ帝国ロートリンゲン公国、ロレーヌ公領(1766年・ロレーヌ州、ナンシー)
- 都市国家ピサ、ジェノヴァ(1768年・コルス州、アジャクシオ)
- ヌヴェール公領(1789年・ニヴェルネ州、ヌヴェール)
- ローマ教領ヴネサン伯領(1791年コンタ・ヴネサン州、アヴィニョン)
- 神聖ローマ帝国領帝国自由都市ミュールハウゼン(1798年、ミュールーズ)
- サヴォワ公領、サルデーニャ王国(1860年・サヴォワ州、シャンベリ)
- ニース伯領(1860年コンテ・ドゥ・ニース州、ニース)
- 神聖ローマ帝国領邦モンベリアル公領(1816年、モンベリアル)