ポワトー・シャラントの地方菓子

                        

Tourteau Fromager / トゥルトー・フロマジェー

この地域圏で最も有名な『地方菓子』です。現在ではフランス各地、さらにはスーパーなどでも売っている菓子です。まず特徴的なのはその見た目だと思います。真っ黒です。ここまで黒く”焦がす”ことがこの菓子の特徴です。しかし、食してみると焦げの苦っぽい味は感じないと思います。この焦げ部分は取って食べられる事もあるみたいです。この菓子はその特徴としてfromage de lait de chèvre山羊乳チーズを使います。これは伝統的にこの地域の特産であるためです。底にはpâte à brisé練り込みパイ生地をfonçage(型に敷く)し、chèvre、jaune d’œuf卵黄、sucre砂糖、farine小麦粉を混ぜたものとblanc d’œuf monté泡立てた卵白を合わせたものを型に流して長時間かけて焼き上げます。


       Fromager / フロマジェー

基本的には上のTourteau Fromagerと同じです。ですが、最も根本的な違いとしてchèvreではなく、よりクセがなく水分もずっと多いFromage Blancを使っています。なので頭もあれほど真っ黒くなりません。底に使うpâte生地も同じpâte à briséの場合もあれば、pâte sucréeサブレ生地を使う場合もあります。この地以外のフランス各地で見られるのは主にこちらのものです。


 Broyé du Poitou / ブロワイェ・デュ・ポワトー

 Galette Charentaise / ガレット・シャランテーズ


この地域圏全域でよく見られる『地方菓子』です。しかし、地域圏内でも場所によって呼び名が変わります。北部の旧Poitouポワトー州圏内では上の名で、南部のAngoumoisアングーモワ、Saintongeサントンジュ、Aunisオーニス各州では下の名前になることが多いです。また、下の名前の場合は当地のspécialitéであるangéliqueアンゼリカを入れる事が多いです。様々な大きさで売られており、基本的には普通のSabléサブレですが、この地域圏にはA.O.C.(原産地呼称統制)にも指定されているbeurreバターであるBeurre Charente Poitouがあり、(全ての店でこのbeurreを使って作っているわけではもちろんないと思いますが)その風味には特別なものがあり、これぞシンプルながら『地方菓子』と呼ぶに相応しいものでしょう。


Macarons de Montmorillon / マカロン・ド・モンモリヨン


その名の通り、Montmorillonのマカロンです。これはこの町の一軒の菓子屋「Rannou Métivier」が始めたもので、この店は創業150年だとか。macaronなのでその構成はシンプルでblanc d’œuf卵白、sucre砂糖、amande en poudreアーモンドプードルだけです。ここのmacaronは数ある古典的なmacaronのなかでも固いものになります。ですのでこれを絞り出す時はpoche絞り袋のようなものではなく、特殊な道具を使って絞り出します(よく露天で売っているチュロスを絞るのと同じで、簡単に言えば「ところてん」の要領で上から押し出す力を万力のように巻き式にしています)。本来ならこの菓子はMontmorillonの町で扱うべきなのですが、この地域圏の他の町でも、これと同じような、もしくは同じ名前で売られている事が非常に多いのです。ですので、一応、共通する『地方菓子』としてこちらで扱っておきます。

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