Grenobleグルノーブル駅下車。Lyon Part-Dieuリヨン・パール・デュー駅から1時間半程です。Isèreイゼール県の県庁所在地であり、この地域圏ではLyonリヨンに次ぐ規模をもつ大きな都市です。中世はcomte d’Albonアルボン伯の治世下で当初は首都として、首都移転後も重要な都市であり続けました。ここでこのような歴史の話しをわざわざ書いたのかというと、この歴史がGrenobleのspécialitéたちと関係してくるためです。歴史を順を追って書かせてもらうと、Grenobleの統治をしていたアルボン伯は別名「le Dauphinル・ドーファン」と言いました。これは彼が自身の紋章に「dauphinイルカ」を用いたからです。このことから、この地域は歴史的に「Dauphinéドーフィネ」と呼ばれ、後に州として成立した時代も「ドーフィネ州」となり、以前の首都で当時も大きな人口を誇っていたGrenobleが州都となりました。このことから、GrenobleのspécialitéにはDauphinéドーフィネもしくはその所有詞のDauphinois(e)ドーフィノワ(ーズ)の名前の付くものが多いのです。その最たるものがGrenobleのA.O.C.(原産地呼称統制)にも指定されているnoixクルミを使った菓子です。この菓子は「Gâteaux aux noix de Grenoble」、場合によっては「Gâteaux Dauphinois」と呼ばれ、その時にはDauphinoisの最後のnoisをクルミであるnoixに置き換えて「Gâteaux Dauphinoix」と言葉遊びをしている例もあります。この名前ではいくつかのタイプの菓子が作られていますが、基本となっているのはpâte sucréeサブレ生地のtarteタルトにnoixクルミをcaraméliséキャラミリゼしたものをfourrer詰めたものです。私が食べたのはその上にDacquoise Noixダクワーズ・ノワを載せて焼き上げたものです。この他にも色々な「Gâteaux Dauphinoix」が売られています。そしてこのnoixもchocolatやbonbon飴など、様々なものに用いられています。cuisine料理でもこの名前は頻繁に登場し、最も有名なのがpomme de terreジャガイモを使ったgratinグラタンである「Gratin Dauphinois」です。他にもこの町の特産物として、薬草系リキュールで「リキュールの女王」と呼ばれる「Chartreuseシャルトリューズ」があげられます。これはGrenobleからほど近い山中にあるGrande Chartreuseグランド・シャルトリューズ修道院で作られていたものです。